那由多の果て

伝埜 潤の遺産。小説になり損なったフラグメントと、日々の連れ連れ。

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剥製の鷹3

過去のフラグメント。これで終わり。


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『アーヴィング、帰投命令だ』
「了解」
フットバーを踏み込み、腕に力を込める。感傷は風に散じ、テープで貼り付けたホークアイの写真がはためいた。
あれからどのくらい時間が経ったのか、今日も俺は空を飛ぶ。
ここで生きたい。常に底無しの天藍へ墜ち続ける錯覚。空を這い回って見上げる大地。そこではホークアイが、墜ち続ける俺を俯瞰している。自らの翼を掻きむしり、空へ墜ち続けたホークアイは今、大地の彼方で眠る。飾られることも謗られることもなく、ただ眠るのだ――天藍の煌めく空を眺めて。
逃れるために翼を求め、剥製になることを選び、けれどあいつは最期に空を掴んだ。あれが、藻掻くように羽撃き続けたホークアイにとって最良のいき方だったとしても、俺は許せなかった。剥製となっても、俺はホークアイにここにいてほしかった。それは俺のエゴに過ぎず、ホークアイが求めるものではない。それでも、眩しい天藍のどこにもホークアイがいないと思う度、俺は一雫の痛みを胸に抱く。

その痛みを抱いたまま、俺は空へ向かう。

銀の翼を翻して。



終わり。スカイク○ラの映画をやってた頃に、独自のゴーグル&プロペラを求めて書いてみた、ある意味オマージュ。因みにアーヴィングのその後も書いたが、後追い自殺にしかならなかった。が、よく考えたら、私はス○イクロラをちゃんと読んだことはない。森作品で読んだのはトー○の心臓だけ(そのチョイスも何だかなぁ…)喜嶋先生も読まないと。
フラグメント / comments(1) / - / 伝埜 潤 /
Comment
とりあえず、懐かしいものがあったのでそこから読んでみる。
電車ん中で泣きそうになった。やっぱ好きだーこの話。
2011/04/14 6:48 PM, from 香月遥乃