読了。
2012.01.31 Tuesday 23:11
『冬姫』読了。昨年の大河・江と同じ、いわゆる女いくさものである。しかし男性が書いた、という感じがひしひしと伝わる。江に関わる小説の書き手は女性が多く、それを読み慣れていたのも手伝って、かなり新鮮だった。とか言って、葉室さんが女性だったらどうしよう。
織田信長の娘にして、日野の蒲生氏郷に嫁いだと言うから、滋賀県民的にかなりの親近感。滋賀県南部の民からすれば、忍者と同じく馴染み深い。蒲生は信長さんが滋賀県に腰を落ち着けたころは、ごく小さな勢力だったが、麒麟児と言われる氏郷が出てから強くなる。信長さんが実の娘を嫁にやるくらいだから相当だ。滋賀県は戦国大名のメッカである。浅井長政も、江北の鷹と言われた人だしね。
冬姫で有名なエピソードと言えば、あれだ。お市の方によく似た美貌を誇り、それゆえに旦那が若くして亡くなった折り、秀吉に妾になれと迫られたときのあれだ。使者の眼前で自らばっさり髪を切り、尼になるから手を出すなと言い放ったとかいう、あれ。
史実の可能性は低いと思われるが、織田家の女性らしい苛烈なエピソードである。
葉室さんの冬姫は、寧ろ安定していて、穏やかさの中に胆力を感じさせる女性だった。旦那とも最後まで良い夫婦だった。凛洌たる冬の名前に相応しい人だった。
代わりに苛烈だったのは、お市の方と茶々である。冬姫と最後の女いくさを演じる相手として、凄みを持って書かれていた。浅井三姉妹を描くときの彼女らの扱いとはまた違って面白い。こういうところが、作家の独創性と筆力の見せどころなのだろう。
地元ネタなのでもともと親近感はあったが、それを引いても読み応えのある一冊だった。満足。
織田信長の娘にして、日野の蒲生氏郷に嫁いだと言うから、滋賀県民的にかなりの親近感。滋賀県南部の民からすれば、忍者と同じく馴染み深い。蒲生は信長さんが滋賀県に腰を落ち着けたころは、ごく小さな勢力だったが、麒麟児と言われる氏郷が出てから強くなる。信長さんが実の娘を嫁にやるくらいだから相当だ。滋賀県は戦国大名のメッカである。浅井長政も、江北の鷹と言われた人だしね。
冬姫で有名なエピソードと言えば、あれだ。お市の方によく似た美貌を誇り、それゆえに旦那が若くして亡くなった折り、秀吉に妾になれと迫られたときのあれだ。使者の眼前で自らばっさり髪を切り、尼になるから手を出すなと言い放ったとかいう、あれ。
史実の可能性は低いと思われるが、織田家の女性らしい苛烈なエピソードである。
葉室さんの冬姫は、寧ろ安定していて、穏やかさの中に胆力を感じさせる女性だった。旦那とも最後まで良い夫婦だった。凛洌たる冬の名前に相応しい人だった。
代わりに苛烈だったのは、お市の方と茶々である。冬姫と最後の女いくさを演じる相手として、凄みを持って書かれていた。浅井三姉妹を描くときの彼女らの扱いとはまた違って面白い。こういうところが、作家の独創性と筆力の見せどころなのだろう。
地元ネタなのでもともと親近感はあったが、それを引いても読み応えのある一冊だった。満足。